昨日の営業前の仕込みの時間、みんながまだ出勤してない早い時間に、厨房から大騒ぎの
声が聞こえてきました…。ドタバタと何かに格闘する声…。
何をしてるのかなぁ〜?と見てみると、ヒロシくんとまっちゃんが、生簀からあら(クアエ)
を引き上げるのにドタバタ格闘してました。生簀のあらは15キロ越えの大物、そんな易々と
生簀からでてくれません。
格闘数分後にやっと生簀から引き上げ、今度は水から出されて暴れてるあら(クエ)の神経
〆を行います。

死ぬと筋肉のエネルギー源であるATP(アデノシン三リン)の供給が絶たれ、 筋繊維が徐々
に硬直していきます。死後硬直です。そして、時間の経過と共に緩やかに硬直が 解けて、腐
敗となっていきますが、神経抜きは、死後硬直が進行するよりも先に中枢神経を破壊するこ
とで、ATPの自己消化が大幅に遅れ、鮮度が保たれます。

魚肉は死後硬直後から細胞内の酵素が働いて、旨み成分のイノシン酸が増えてきます。
この状態を、『熟成』と呼ばれています。
硬直が解けてからは、消化器の中にいた細菌や、外部から付着した細菌の持つ酵素によって
分解が進みます。これが『腐敗 』 です。
二人掛かりで、やっと神経〆は完了♪

ATPは筋肉のエネルギー源です。魚を肉体的、精神的に疲労させることで貴重なATPが消費
されます。ATPの消費を防ぐため、ストレスを与えないよう、また余計な運動をさせないよ
うに、できるだけ短い時間で絞めると、旨み成分のイノシン酸がゆっくり増え、魚の体内に
旨くキープでき、旨味が多い刺身となるのです。

神経〆のあとは生臭さの原因になる血をだします。そのあと氷水で冷やします。
発熱が押さえられると同時に、傷みやすくて雑味を含んだ血液が抜けて透明感のある身肉に
なるそうです。